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【リスキリングとは?】リスキリングとリカレント教育の違いを交えて解説
時代の移り変わりはとても早くなっており、企業が変わらなくてはいけないが中々行動に移せないという企業を多く見かけます。そこで今回は最近良く話題になるリスキリングとは何かを知りたい方に、またリカレント教育の違いを交えて解説いたします。
リスキリングとは?
本章では、リスキリングの定義やリスキリングを必要とされている背景と紹介いたします。
リスキリングの定義
リスキリング(Reskilling)とは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と経済産業省は定義しています。
昨今、人生 100 年時代と言われている中で長く働くことを前提に考えられているため、このリスキリングという考え方が個人はもちろん企業としてもかなり重要になってきます。
リスキリング導入の背景
リスキリングは、DX を推進していく上でよく用いられます。現在 IT 人材不足は深刻化しており、上図を見ていただくと、2020 年時点で約 30 万人不足していたとデータが出ており、2030 年には約 79 万人と現状の 2 倍以上不足していくと予想されています。
このような現状を踏まえ、企業では IT 人材不足を補うために、リスキリングに力をいれていかなくてはいけません。リスキリングを行っていくことで、人材の再活用や再配置を行うことができ、IT 人材不足の解消や DX を推進していくことができます。
DX 推進をしていく事で人の仕事が AI に代替される職業も少なくありません。このような環境変化に適応するためにも新たなスキルを習得すること、つまりリスキリングの必要性を語られるようになりました。
※ DX は経済産業省より以下のように定義されています
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
リカレント教育とは?
リカレント教育とは?
社会にでますと、学生の頃と比べて勉強をする時間を取れないと思います。実際に総務省統計局の「平成 28 年社会生活基本調査」によりますと、社会人が「学習・自己啓発・訓練」に充てる時間は 1 日当たり平均 6 分間という結果がでています。学生時代に授業含めて 1 日何時間も勉強していたことを考えると、社会人の勉強時間がいかに少ないかが分かると思います。このような背景もあり、社会人になっても学びを続ける「リカレント教育」が注目されております。
リカレント教育の定義
リカレント教育とは社会人になってからも、教育機関や社会人向けの講座で学び直すことをいいます。つまり、「就労→教育→就労」のサイクルを回し続けることをさし、社会人になってからも、大学などの教育機関や社会人向けの講座で学習し直すことを指します。
リカレント教育導入の背景
リカレント教育はスウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンによって提唱された概念です。海外では、社会人になった後に仕事を辞めて教育機関で学び直してキャリアを再開させる人が多くいます。日本でも、AI(人工知能)の普及や DX が進んでいくにつれて、今後も様々変化予想されます。
消えていく職業もでてきており、また現状のスキルだけでは通用しなくなる可能性があります。人生 100 年時代と言われ久しいですが、今後の不安定な社会を生き抜く上では、社会人になってからの学び直し、つまりリカレント教育が今以上に必要になってくることが予想されます。
リスキリングとリカレント教育の違い
リスキリングとリカレント教育の定義、導入の背景を理解できたところでそれぞれの違いを整理していきたいと思います。
リスキリングとリカレント教育の違いとは?
どちらも、学校を卒業した人間が何かを新たに学ぶという意味では共通しています。ただ、リスキリングは、今後企業にとって必要となるスキルを企業側が社員に対して施す再教育になります。一方リカレント教育に関しては、今後自身にとって必要となる知識を身につけたり、個人主導で求められるスキルを教育機関で学び直すことを指します。
リスキリング | ・DX が進むことで、社会の変化に対応するための知識や技術を学び直すこと ・今後企業にとって必要となるスキルを企業側が社員に施す再教育 |
---|---|
リカレント教育 | ・教育機関や社会人向け鋼材に戻って学び直すこと |
リスキリングにおける課題
世界的にもリスキリングは進んでおり、昨年岸田首相も「リスキリング」について言及したことで徐々に広まりつつありますが、日本におけるリスキリングの課題はどのようなところにあるでしょうか。本章では、経済産業省が発表している日本におけるリスキリングの課題を紹介いたします。
「スキルデータベース」「スキルマップ」への信頼が低い
リスキリングには、現有スキルと将来必要なスキル双方の可視化が不可欠とされていますが、日本企業における「スキルデータベース」「スキルマップ」への信頼はまだまだであり、スキルの可視化を AI を活用してくべきだと述べており、社内外の人材要件定義、求人情報、研修情報などから、特定職種に求められるスキルを特定し、常時更新し続ける仕組みが必要だと提言しています。
デジタルスキルを「仕事で使えるレベル」に高められるコンテンツ
実務で扱えるような eラーニングコンテンツはあるのか、また eラーニングや座学だけで「使える」スキルを獲得できるのかという課題があると述べています。コンテンツ自体は、国内外を含めた社外コンテンツを探すべきたとしており、受講後の「現場経験」こそ重要だと提言しています。
リスキリングに抵抗する人々への教育
リスキリングを進めていく上で、賛同いただけない方は一定数おります。ですので、リスキリングをしなければ、企業内で「価値を生み続ける」人材として生き残れない。逆にいえば、上手にリスキリングすれば、社内で価値を発揮し続けることができる。といったことをうまく伝えられるかが重要だとしています。そのためにはスキルの可視化を行い、新しい職務の可能性を見せることが必要だと提言しています。
リスキリングのメリット 3 選
では、リスキリングによる DX 推進を行うとどのようなメリットが得られるでしょうか。ここでは考えうる 3 点についてご紹介いたします。
人材の効率化
IT への対応は全社的に取り組んでいかなくてはいけない為、外からの優秀な人材を確保してくるだけでは乗り切れません。そこでリスキリングによる社内育成も行うことで、社内外ともに人材確保をしていくことで IT への対応や人材不足の解消ができます。雇用機会の維持にもつながるので、人材の効率化を図ることができます。
上図は売上高別の「人材不足対策のグラフ」ですが、リスキリングによる対応が中々進んでいない事がみてとれ、ここを伸ばしていくことで、ドメイン知識を持った社員が教育され、企業の成長に効率よく寄与できるようになります。
業務の効率化
リスキリングによる社内全体での DX 推進が行われることで、社内での IT リテラシーが向上し実務課題を現場レベルで発見し、効率化や自動化が期待できます。
新たな価値の創出
新しいスキルを身につけることで、身の回りに起きている課題に対して違った視点で見られるようになり、業務改善や新しいサービスにもつながってきます。
リスキリングで学ぶべきおすすめのスキルは以下のブログをご参照ください。
リスキリングの今後
現在日本では、デジタルと IT を活用した付加価値の高い新規ビジネスを生み出せていないことが、デジタル人材の育成に関する根本的課題と経済産業省は注意喚起をしています。そのため、人材個人のリスキリングと成長が、DX を担う IT 人材の育成につながり、日本全体の DX を進展させる鍵としています。ですので、企業全体としてリスキリングとは何かをしっかりと理解した上でリスキリングを促進させていくことが重要です。
最後に
いかがでしたでしょうか?リスキリングとは何かを知りたい方に、またリカレント教育の違いを交えて解説いたしました。本記事でリスキリングとは何か、またリカレント教育との違いが大枠だけでも理解できたかと思います。
時代にあわせたスキルを再習得するこの潮流は、今後さらに加速していく事が予想されております。ですので、企業としても個人にとっても避けては通れない問題となっておりますので、今後の IT 人材不足に備えてリスキリングを導入していただき、人材の離職や解雇を防ぎ時代に合わせた組織づくりを検討してみてください。
株式会社キカガクでは DX 推進人材の育成を目指し様々な講座を展開しておりますので興味のある方は受講してみてください。無料で受けられる講座も複数用意しております。最後までご一読いただき誠にありがとうございました。
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