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E資格取得に必要な勉強時間は?〜必要な学習方法についても解説〜
E資格とは?
E資格とは?
E資格とは、日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)が主催する「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているか」どうかを認定する資格試験です。
試験の中では、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の知識を始め、開発環境や応用数学の理解まで幅広く問われるような試験となっています。
JDLA は E資格と G検定の 2 つの資格を展開しており、JDLA が認定するもう一つの資格、G検定の次のステップとも位置付けられるエンジニア向けの資格試験となっています。
G検定との違いは?
JDLA が実施している資格試験にはE資格以外に G検定があります。G検定はディープラーニングを活用する人材(ジェネラリスト)向けとなっており、AI の歴史や基礎の部分、契約や倫理にまつわる内容など、広い範囲のビジネス活用の知識を問うものになっています。
それに対して、E資格はディープラーニングを実装する人材(エンジニア)向けの資格となっており、機械学習やディープラーニングのモデルの実装をする知識や、内部で行われる数学的な計算の理解を問うものになっています。
E資格の受験には、「過去 2 年以内に JDLA 認定プログラムを修了している」必要がありますが、G検定には受験制限がないという違いがあります。
また、受験会場も G検定は「自宅受験が可能」なのに対し、E資格は「指定の受験会場での受験」という形になっており、受験できる環境も異なります。
E資格のほうが G検定より専門的な内容が多く、難易度が高くなっています。
下図:E資格と G検定の違い
E資格 | G検定 | |
---|---|---|
対象 | ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)向け | ディープラーニングを活用する人材(ジェネラリスト)向け |
内容 | 機械学習やディープラーニングのモデルの実装をする知識や、 | AI の歴史や基礎の部分、契約や論理にまつわる内容など、 |
受験要件 | 過去 2 年以内に JDLA 認定プログラムを | 受験制限なし |
受験形式 | 指定の受験会場での受験 | 自宅受験が可能 |
E資格の問題形式は?
E資格の試験時間 120 分、問題数は 100 問前後(問題数は実施回毎に若干異なります)で全問多岐選択形式となっています。
試験時間 120 分で 100 問前後ですので 1 問あたりにかけられる時間は 1 分程度と、時間制限が厳しいのも一つの特徴と言えます。
また、選択式の問題とはいえ、実装のコードを問われる問題や計算問題なども出題されるため、しっかり内容を理解していないと正答できません。
E資格の合格率は?
以下はこれまでの開催回別の合格率の一覧となります。
出典:「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ
(「2020#2」は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により開催中止となりました)
近年の E資格の受験者と合格者をまとめた表となります。この一覧表だけ見ると、受験者の半数以上が合格しているので、合格することはそれほど難しくない資格だと考えられそうです。
しかし、E資格の受験者の大半はすでにある程度機械学習の知識を持っていたり、実務でディープラーニングを使われている方もいらっしゃいます。
また、E資格の受験資格を得るためには、JDLA 認定プログラムを修了する必要があります。
JDLA 認定プログラムを修了した受験者の 3 割程度以上が不合格になることを考えると、合格率の数値以上に難易度の高い試験であると考えられます。
E資格を取るメリットは?
ディープラーニングを実装レベルまで学ぶことが出来る
E資格取得を目指す一番のメリットはディープラーニングや機械学習の知識を実装レベルまで学ぶことが出来るという点です。
E資格の受験資格を得るためには、JDLA 認定プログラムの受講が必須条件となっています。
認定プログラムの受講を通じて、単に知識だけでなく、AI やディープラーニングに関する実践的なプログラミングスキルを習得することができます。
AI や機械学習、ディープラーニングなどについて独学で学んでいる方も、領域があまりに広いため、どの単元をどの深さまで学べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
E資格という一つの代表的な AI の資格取得を目指して勉強することで、幅広くバランスの取れた知識を習得することができます。
JDLA のコミュニティに参加することが出来る
E資格の合格者は、JDLA の主催している Slack などのコミュニティに参加することができます。
合格者の会である CDLE(Community of Deep Learning Evangelist)通称「シードル」などは、E資格や G検定の合格者しか参加できません。
コミュニティの目的として、情報共有をはじめ、ディープラーニングに関する幅広いテーマについて、メンバー同士が日々、学び合い・アウトプットの場となっています。
これらのコミュニティに参加することにより、ディープラーニングをともに学習する仲間を見つけたり、異業種や異業界の同じ目的を持つ方と繋がれたりと人脈づくりに役立てる可能性もあります。
E資格に必要な勉強時間は?何を勉強すれば良い?
必要な学習時間は?
Study-AI 社が 2021 年 2 月開催されたE資格の受験者を対象にとったアンケートがあります。
このアンケート内の「あなたの学習時間は?」といった項目のアンケートの結果では、「100 時間 ~ 200 時間」が 45.59 %と最も多く、続いて「200 時間 ~ 300 時間」が 42.65 %という結果になっています。
このアンケートの結果によると、受験者の 9 割近い方が 100~300 時間学習に当てているということがわかります。
学習時間 | 割合 |
---|---|
100 時間 ~ 200 時間 | 45.59 % |
200 時間 ~ 300 時間 | 42.65 % |
仮に合格までに 200 時間の学習時間が必要だとすると、1 日 2 時間ずつ約 3 ヶ月間学習する必要があります。
決して簡単な試験ではないので、学習時間から逆算して E資格の学習に当てる時間を確保するようにしましょう。
※参照:Study-AI「E資格受験者(2021#1)を対象にE資格の難易度についてアンケート調査(独自)を実施しました。」
しかし、E資格の受験者は、実務でディープラーニングを活用している方から、スキルアップを目指すビジネス層の方まで様々なバックグラウンドを持った方がいらっしゃいます。
勉強時間は個人のバックグラウンドや既に得ている知識にもよりますし、スタートラインが人によって違いますので、一概に何時間勉強すれば合格できるといったラインを定めるのは困難です。
必要な勉強時間は人によって異なるといった認識を持った上で、このアンケートの結果は一つの目安として捉えると良いと思います。
また、どのように勉強するのかも非常に大切になります。
沢山の勉強時間を確保しても、試験に直結しないような学習をしていては、どれだけ勉強時間を確保しても合格することは難しいです。
何に取り組めばいいの?
では、具体的に何に取り組めば良いのか、筆者が実際に E資格を受験したときの体験に基づいてお伝えしていきます。
まず、E資格の受講のためには JDLA 認定プログラムの受講が必要となりますので、まずは JDLA 認定プログラムを修了するところからスタートとなります。
ここでは、 JDLA 認定プログラム修了した後に何に取り組むのかと行った切り口でお伝えいたします。
JDLA 認定プログラムの中にも、E資格の対策コースなどがある場合もありますのでそちらに取り組まれるのも良いと思います。
JDLA 認定プログラムを修了した後であれば、ある程度の知識の下地は付いていると思うので、その後に E資格合格のために必要な
- コーディング問題の対策
- 問題の反復
を徹底して行うようにしましょう。
具体的な内容について、ここから記載していきます。
コーディング問題対策
まずは、E資格行っておきたい取り組むべき項目としてコーディング問題の対策があります。
E資格は知識の問題だけでなく、コーディングの穴埋め問題も出題されます。
コーディング問題に関しては、対策しておかないと手も足も出ませんので、まずはしっかり時間をかけて対策を行っていきましょう。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装を使い実装するのが解説もわかりやすく一番効率が良かったと感じています。
筆者はコーディングの対策としては、こちらの一冊のみで対応しました。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
この書籍はディープラーニングを学ぶ上で、定番の一冊で、通称「ゼロつく」と呼ばれています。
まずは、こちらの本を見ながら手を動かしながら実装することでディープラーニングの実装に慣れていきましょう。
本番の試験は、多岐選択式なので試験の中で実装を行うことはありませんが実際に手を動かしながら取り組むことで知識の定着率も高まっていくと思いますので、実装を行うのがおすすめです。
ディープラーニングが裏側でどのような計算をしているのかといった理論を理解することもできますので、読み物としても非常に面白いです。
こちらの書籍では、フレームワークを使わずにディープラーニングを実装する方法を学ぶことが出来るのですが、E資格のシラバスの改訂があり、2022 年 8 月開催の E資格試験より、フレームワーク(PyTorch や TensorFlow など)を使った問題も出題されるように変更されております。
フレームワークを使った実装の対策もプラスアルファで必要になってくるので、こちらも押さえておくようにしましょう。
シラバスの改定内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にされてください。
問題の反復
コーディング対策をある程度行うことができたらどんどん問題を解いていきましょう。
E資格は試験範囲が広いので出来るだけ沢山の問題に触れておくことが重要となります。
沢山の問題に触れるために、E資格唯一の問題集である徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第 2 版を使って学習するのがおすすめです。
徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 第2版 (徹底攻略シリーズ)
通称「黒本」と呼ばれるE資格対策の唯一の問題集となっています。
こちらの問題集は解説も丁寧でとてもわかり易いです。問題に取り組んでいる中で、今まで触れたことのない分野の問題もあると思います。
わからない問題は、解説を読み理解を進めていくのが良いと思います。また勉強時間に余裕があれば、問題の出典の論文を読むことも知識を深めていく上では大切です。
間違えた問題を反復して学習し、本番までにこちらの黒本の内容は 9 割以上理解できている状態になっているのが理想です。
こちらの書籍の最後には、100 問の模擬試験も付いておりますので、実際の試験の時間配分も考えながら取り組むことができます。本番前に取り組み、試験の時間間隔を身に着けておきましょう。
今回のシラバス改訂により、若干出題範囲変更され、2022 年 8 月開催以降のE資格試験では網羅できていない箇所もありますので、そちらはご注意下さい。
また、シラバス改訂に伴い、書籍の改訂が行われる可能性もありますので、そちらもご確認下さい。
キカガクのJDLA認定プログラム
ディープラーニングハンズオンセミナー
キカガクが提供しているディープラーニングハンズオンセミナーは、JDLAより認定プログラムに指定されております。
ディープラーニングハンズオンセミナーを受講いただく大きなメリットを 3 つ紹介いたします。
1. ディープラーニングについて短期間で体系的に学べる
ディープラーニングハンズオンセミナーでは、機械学習やディープラーニングについて理論や実装について体系的に学ぶことができます。3 日間という短期間で体系的な知識を得ることが出来るボリューム満点のコースとなっています。
2. 受講中は質問し放題
受講期間中は講師に直接質問することができます。
ハンズオン形式で学ぶ事ができるセミナーとなっていますので、受講期間中(3 日間)は講師に直接質問することができます。
3. E資格の対策が充実
ディープラーニングハンズオンセミナーに参加された方皆様に、先程例題としてお見せした E資格事前学習テストをはじめ、E資格対策コースとして、20 時間分のE資格対策動画を無料で付与いたします。
コース紹介
キカガクのディープラーニングハンズオンセミナーは、3 日間のリアルタイムオンライン研修と eラーニングの 2 種類をご用意しております。
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(オンライン研修)の詳細はこちら
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(e ラーニング)の詳細はこちら
また、ディープラーニングハンズオンセミナーでは PyTorch を使ったディープラーニングの実装を学ぶことができます。
PyTorch を使ったことがない方でも 3 日間のセミナーで、ディープラーニングの基礎的な実装から、簡単な自然言語処理の実装まで学ぶことができます。
今回より、E資格の試験範囲にフレームワークを使った実装が含まれますので、まだ PyTorch に触れたことがない方には特におすすめです!
終わりに
いかがでしたでしょうか?今回の記事では、E資格の合格に必要な勉強時間や勉強方法の一例についてお伝えしました。
バックグラウンドにより学習に必要な時間は異なると思いますが、まずは E資格の出題範囲を合格から逆算して計画を立てて学習することが大切になります。
E資格試験では技術の進歩に伴い 1~2 年に 1 回くらいの間隔でシラバスの改訂がありますので、受験予定の開催回のシラバスと試験範囲の内容を確認した上で学習に取り組まれることをおすすめします。
まだ JDLA 認定プログラムを受講されていない方は、ぜひキカガクのディープラーニングハンズオンセミナーの受講をご検討下さい!
また、キカガクでは上記以外にも、研修をご用意しております。
例えば、キカガクの研修の特徴でもお伝えした実際の実現場の課題をテーマに上記コースで学んだことを活用していく PBL 研修等です。
このようなキカガクのサービスの特徴やコース詳細についての資料にて詳しくご紹介しております。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等や今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。
E資格向けを検討されている方のご参考になれば幸いです。
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