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【DX白書2023】DXを効率的に推進〜DX白書2023の概要を解説〜
社会経済が激しく変化している中、企業では DX を推進するべく様々な課題解決に取り組んでいますが、「DX を推進しているが具体的な成果がでていない」、「DX を推進する人材が不足している」、「DX の推進に必要な技術が分からない」等といった問題に直面することも少なくないのではないでしょうか。
本記事では、「DX 白書 2023」を読みほどき、企業がどのような DX 戦略を取るべきなのかを現状把握を含めて解説いたします。
DX 白書 2023 とは
DX とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)について、経済産業省は以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
つまり DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ビジネスや組織がテクノロジーの力を利用して変革を達成し、新しい価値を創造し、競争力を強化するプロセスを指します。
現在の日本企業では、DX の「D」のデジタル化に関しては進みつつありますが、「X」であるトランスフォーメーションに関してはまだまだ浸透していないのが現状です。
DX 白書 2023 とは
では DX 白書とはなんでしょうか。「DX 白書」とは、経済産業省配下の独立行政法人情報処理推進機構(以降、「IPA」)が発行している DX 推進に関するレポートです。こちらでは、日米企業アンケート調査結果による経年変化や最新動向、国内の DX 事例に基づく DX の取組状況、DX を推進していく上での課題や求められる取り組みの方向性についてまとめられています。
DX の取組状況の現状
では、DX の取組状況は現状どのようになっているでしょうか。本章では、日米における取組状況、日本の産業・大企業・中小企業の取組状況、地域別の取組状況をご紹介いたします。
日米における DX の取組状況
上図は日米で比較した図です。2021 年度、2022 年度を比較し全体的にも米国より DX への取組状況が遅れてはいるものの、2022 年には差が縮まっている事が見て取れます。大企業を中心に DX 推進における取組が活発になってきております。全社的にはもちろん、一部の部門、部署ごとと全ての項目に対して増加傾向にあります。
日本における産業・大企業・中小企業の取組状況
出典:株式会社 情報通信総合研究所 デジタル・トランスフォーメーションによる 経済へのインパクトに関する調査研究の請負 報告書
日米間での DX 取組状況を確認したところ全体的に DX の推進は上昇傾向でしたが、国内で見た際にどのような状況なのかを確認していきます。
上図を見てみると、情報通信業が約 45 % が DX に取り組んでおり、大企業でも約 40 % が取り組んでいますが、中小企業では約 14 %しか DX の推進に取り組めていない現状です。これには資金面ももちろんですが、DX 推進人材の不足や経営者が DX の推進に踏み切れない等の理由があげられます。
地域別における DX の取組状況
全体的に DX の推進は進んでいるものの、日米間・大企業・中小企業・地域別での取組度合いに差がでていることが見て取れます。
DX 白書の抑えるべきポイント
DX の取組状況を踏まえた上で、どのように DX を推進していくべきでしょうか。本章では、抑えるべきポイントとして「DX 戦略」、「デジタル時代の人材」について解説いたします。
DX 戦略の策定と推進
DX 白書では、DX 戦略の策定においてまずは DX 推進によって達成すべきビジョンを定める事が重要だと記しています。また、達成するには「外部環境変化とビジネスへの影響評価」を考慮した上で、「取組領域、推進プロセスの策定」、「成果評価とガバナンス」について掘り下げていく必要があると考えられています。
外部環境変化とビジネスへの影響評価
コロナウイルスのようなパンデミックによる外部環境変化に対応しつつ、ビジネスとして対応すべき「技術の発展」や「SDGs」等、日本企業は米国と比べグローバルな外部環境の変化対応しきれていないとされています。このような変化へのアンテナを高くしていくことと、変化を機会と捉えていくマインドが求められています。
取組領域、推進プロセスの策定
DX の推進において、顧客や社会に対して新たな価値の創出、また組織内での生産性の向上や働き方改革が重要だとされています。上図では、成果がでたと答えた企業に関しての取組内容のアンケートです。DX に該当する「新規商品・サービスの創出」や「ビジネスモデルの根本的な変革」において、米国との差が「成果」に対して大きく離れており、まだまだ DX の推進ができていないことがみてとれます。
成果評価とガバナンス
DX を推進していく上で、指標として「成果評価」をすることが重要であり、適切な KPI を設定し改善していくことが望ましいです。ただ、上図を見てみると成果に対しての評価が適切に行えていなかったり、頻度もそんなに多くなかったりと適切なガバナンスがとれていないことが分かります。
米国のように、日本でも成果評価に対してのガバナンスをしっかりと整えていくことが非常に重要です。
デジタル時代の人材
デジタル時代の人材において、DX を推進していくためにどのような人材が必要か、具体的な人材像を設定する必要があります。設定をした上で、デジタル人材を「採用」していくのか、「育成」していくのかを検討していく必要があります。
デジタル人材の不足
昨今、デジタル技術の進歩が目覚ましく、このような進歩に対応するためには DX を実現していくことが重要課題となっています。しかし、DX の推進度は日本が諸外国の中でも大きく遅れをとっており、その要因の一つとして DX を推進していくための素養や専門性を持った人材が不足していると言われています。
上記の画像は、日本と米国との「DX を推進する人材の「量」の確保」について集計したデータですが、日本にて DX 推進人材が不足していると感じている割合が 80 % 以上と米国と比較してもかなり高いことが分かります。
また、「DX を推進する人材の「質」の確保」においても、 不足してると感じている割合が 80 % 以となっており、「量」と「質」ともに不足していると考えている人がほとんどです。
DX を推進する人材の確保
DX を推進する人材はどのように確保してくるのでしょうか。結論、日本では「社内人材の育成」が 54.9 % と割合が一番高く、米国では社外からの誘致日本でも、人材育成を進めつつ米国のような社外からの誘致にも積極的に取り組んでいく必要があります。
キャリア形成・学び
また、日本では DX 推進人材の確保する方法が「人材育成」が主となってはいますが、 OJT や研修での「実施・支援なし」と回答している企業が半数前後を占めており、米国との取り組む姿勢に大きく差がでているのが現状です。
「DX 推進人材」の育成をについてご興味のある方は以下のブログでまとめておりますので、ぜひご一読ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、「DX 白書 2023」を読みほどき、企業がどのような DX 戦略を取るべきなのかを現状把握を含めて解説いたしました。現状の自社の課題をぜひ整理いただき、DX の推進にお役立ていただけますと幸いです。
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