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DX 推進のための人材育成の課題とは?
DX を推進するための人材育成における課題とその解決策はどこにあるのでしょうか。
DX 推進自体のボトルネックから、DX 人材育成の課題とその解決策についてご紹介してまいります。
なお、DX 人材の育成ステップやキカガクの DX 研修については下記記事でもご紹介しております。
DX 研修をお探しの方はこちらの記事もご参考ください。
DX 人材とは
DX 人材とは文字通り、DX (デジタルトランスフォーメーション)を推進することに関わる人材になります。
ここで DXとは、Digital Transformation の略称で、経済産業省では以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
以上より DX 人材とは、デジタル技術とビジネスの両方の知識を持つだけでなく、デジタル技術を活用して企業や組織を変革し、競争力優位性を確保する取り組みまでできることを求められている人材となります。
この DX 人材を中心に DX を推進していくわけですが、実は DX 人材を育成できれば DX が進むわけではありません。
DX プロジェクトにおけるボトルネック
まずは、DX プロジェクトにおけるボトルネックについて見ていきましょう。下図は弊社が DX を推進する立場にある方 50 名に独自アンケートをしたものになります。そのアンケート結果として、共通して見られた DX プロジェクトのボトルネックを抽出しています。
「変革」を伴う DX を実施するには、全社一丸となって取り組む必要があります。つまり、DX を推進するには、DX 人材の育成だけでなく、全従業員に対して DX 教育をしていく必要があります。
よって、上図のようなボトルネックを育成で解消するためには、「リソース不足」解消するためにDX 人材の育成を行い、「変化への抵抗」の軽減と「意識統一」への支援を目的として育成するのが、全従業員に対しての DX 教育となります。
この両面からのアプローチで初めて、DX を推進するための下地が完成します。
DX 人材の育成における課題は?
まずは DX 人材、つまり高い専門性と推進力をもった人材の育成するにあたり、どういった課題があるのでしょうか。
1. どういった人材を育成すればよいかわからない
まずは DX 推進のためにどういった人材を育成すればよいのか、という育成人材の定義が課題となります。確かに、その育成すべき人材が定まらないと場当たり的な人材育成となってしまいます。
ここを定義するには、どういったビジョンや目的達成のために DX を進めるのかという戦略や、社課題と先端技術に精通した人材が必要になってきます。
2. 技術レベルの高さや広さから自社内での育成ができない
DX で扱う技術は多岐にわたります。例えば、次章で紹介する DX 推進スキル標準において、DX を推進する人材に共通して必要なスキルセットとして次のものを挙げています。
詳細の項目説明は省きますが、大まかな括りである上記のスキルセットだけでもこれだけ多岐にわたります。
さらに、広さだけでなく、技術レベルも高いものになります。技術レベルが高い人材が社内にいても、そういった人材を第一線から外し、育成に回すことができません。
つまり、これらのスキルや技術を包括的に育成しようとしても、DX の初期フェーズにおいては自社で育成しようとするには限界があります。
3. 高い技術を学んでも、実務と直結しない
DX に関連する技術は高い技術レベルのものや、実際にプロジェクトをどう進めるのかといった実務に近いものまで多種多様です。これらのスキルセットのゴールは、現場にて成果をだすことになります。
しかし、往々にしてせっかく学んだものが現場に活きていないという課題があります。技術的なインプットの研修の大半は、インプットを前提としています。またアウトプットを取り入れたとしても、実務に少し乖離のある内容となってしまっています。
つまり、実務での活用をゴールとした先端技術の育成はハードルが高いということになります。
DX 人材の育成における課題の解決策は?
では、上記の課題をどうやって解決していけばよいのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
1. どういった人材を育成すればよいかわからない
DX 戦略や自社課題から逆算して、何を達成するためにどういった人材が必要か、というところを定義していきます。またその際、課題を解決するのに適した技術をうまく選定する必要があります。そこで、技術に詳しい人材をプロジェクトに入れる、ないし専門家からアドバイスを貰うことが有効に働きます。
またそういったことが難しい方は、専門家が用意したフレームワークを活用するのも良いかもしれません。例えば、経済産業省と IPA(独立行政法人情報処理推進機構)により、DX 推進スキル標準というものを策定しいます。DX 推進スキル標準とは、リスキリングの促進、実践的な学びの場の創出、能力・スキルの見える化を実現するため、DXを推進する人材の役割や習得すべき知識・スキルを明示したものになります。
また DX 推進スキル標準では、DX を推進する主な人材として次の 5 つの人材類型を定義しています。
下記が詳細になります。
人材類型 | 定義 |
---|---|
ビジネスアーキテクト | DX の取組みにおいて、ビジネスや業務の変革を通じ て実現したいこと(=目的)を設定したうえで、関係 者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築を リードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した 推進を通じて、目的を実現する人材 |
データサイエンティスト | DX の推進において、データを活用した 業務変革や新規ビジネスの実現に 向けて、データを収集・解析する仕組み の設計・実装・運用を担う人材 |
サイバーセキュリティ | 業務プロセスを支えるデジタル環境にお けるサイバーセキュリティリスクの影響を 抑制する対策を担う人材 |
ソフトウェアエンジニア | DX の推進において、デジタル技術を活 用した製品・サービスを提供するための システムやソフトウェアの設計・実装・ 運用を担う人材 |
デザイナー | ビジネスの視点、顧客・ユーザーの視点 等を総合的にとらえ、製品・サービスの 方針や開発のプロセスを策定し、 それらに沿った製品・サービスのありかた のデザインを担う人材 |
つまり、こういったすでにあるフレームワークを参考に、自社の戦略や課題と照らし合わせ、どういった人材を育成していくのかを決めていくことに役立ちます。
2. 技術レベルの高さや広さから自社内での育成ができない
予算や育成の実現時期にもよりますが、研修プロバイダーにお願いしてしまうのも手になります。研修プロバイダーであれば、多くの実績や上記のスキルセットに対して包括的なソリューションをもっていくことが多いです。
また、受講生のレベル差に合わせて自由に研修をカスタマイズできるので、現状の人材レベルからどのくらいのレベルの人材まで育成したいか、というところまで設計可能です。
さらに、ゆくゆく自社内で育成できるように内製化支援まで実施している研修プロバイダーも存在します。
以上により、もし自社内にて育成が難しい分野になるので、ここは研修プロバイダーを頼るのが解決策の一つとなりそうです。
3. 高い技術を学んでも、実務と直結しない
実務に直結する研修を組むにはどうしたらよいでしょうか。
もし社内にて実施するリソースがある場合は、選抜社員に対して実際に DX を推進している人材や高度な技術をもっている人材に OJT(オンザジョブトレーニング)で育成してもらうということが挙げられます。実際の実務でのインプットとアウトプットを高速で実施できるので、効果が高いです。
もう一つは、実務での活用まで支援してくれる研修プログラムを実施することになります。例えば弊社であれば、研修企業の現場の実データを使って研修カリキュラムを組むことができます(実データ PBL 研修)。これにより、高度な技術をインプットしたあと、アウトプットとしていつも自分が活用しているデータでアウトプットが可能になります。
以上より、狭く深くを社内の OJT にて、広く深くを社外の実データ PBL 研修にて実施していく形が解決策の一つとなりそうです。
DX リテラシー人材の育成における課題は?
続いて DX リテラシー人材、つまりDX の必要性を感じており、 DX への抵抗感が少ない人材の育成するにあたり、どういった課題があるのでしょうか。
1. 関係人数が多くなり、コストが高い
まずは対象が多くなるため、全体を育成しようとするとコストが高くなります。例えば eラーニング等で育成しようとすると、1 ID あたりで料金が決まってきます。社員数が数千から数万人いる会社であれば コストがかなり多くなってしまうことが課題として挙げられます。
2. 関係人数が多くなり、管理が難しい
また対象が多くなると、誰が何をどれくらい受講し、どういった結果になっているのか等の管理が難しくなります。こうなってしまうと学習効果が不明確になり、育成を次に繋げられなくなってしまいます。
3. 受講者のモチベーションの低下
危機意識が強いメンバーや学習意欲が高いメンバーが多ければ問題ないのですが、そうでないメンバーもいたりします。また現業務が忙しく、DX のためのインプットの優先順位が高くないメンバーもいたりします。そういった人がただの知識ばかりの研修を受けると、実務活用のイメージがわかず、学習の意義を見失ってしまい、学習へのモチベーションが落ちてしまいます。
DX リテラシー人材の育成における課題の解決策は?
では、上記の課題をどうやって解決していけばよいのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
1. 関係人数が多くなり、コストが高い
まずは、人事制度を改定し、自助努力でインプットしてもらうことです。ただし会社として、DX の必要性を丁寧にコミュニケーションをとっていく必要があります。また、学習コンテンツを指定したり、学習ロードマップを策定したりと、学習者の意思決定コストをなるべく減らす形でアプローチするのもよいでしょう。
また、1 ID あたりいくら、という学習コンテンツではなく、1 コンテンツいくらという学習コンテンツ買い切り型の研修を探してみるのもよいでしょう。例えば弊社では、DX に必要なリテラシー系コンテンツを人数に関わらずいくらという買い切り型でも提供しています。
2. 関係人数が多くなり、管理が難しい
こちらはすでに、LMS(学習管理システム)を導入して対応されている企業が多いと思います。LMS を導入すれば、どの受講生が何を学習しており、どれくらいの学習進捗にあるかの管理が可能です。これを活用して、学習意欲が高い人をポテンシャルとして、DX 推進人材へと選抜するものよいかもしれません。
また LMS では、テスト等によって理解度を図るもの等もついているので、ただの座学で終わらないこともメリットになります。
3. 受講者のモチベーションが低い
これにはまず、学習内容がわかりやすいかということが大事になります。活用イメージも大切ですが、まずは学習内容に興味をもってもらえるほどわかりやすいか、というのが地味に大切になってきます。
次に、自社課題や自業界の事例がコンテンツの中に入っている、ないしカスタマイズで入れることができるかということが大切になります。これにより業界における DX の必要性や、活用イメージの解像度が大きく変わります。これにより DX への危機感が大きく醸成されます。
以上のようなアプローチを行うことで、受講者のモチベーションを高いまま維持することが可能になります。
まとめ
多くの企業で、DX を推進していくと DX 関連の人材育成で壁にぶつかります。本記事では、その壁とその解決策の一例をご紹介しました。ただ、壁は企業によって千差万別だったりします。この壁の解決に共通することは、担当する方の熱意と地道なコミュニケーションだったりします。
DX には「変革」が入っている分、担当する方に求められるタフネスは想像を絶すると思います。弊社キカガクは、そういった皆様に少しでもご助力できればとおもっております。
本記事が皆様の参考になっていれば幸いです。
株式会社キカガクでは活躍する DX 人材を育成するため様々な研修をご提供しており、各コースの詳細やその他研修については下記の資料にてご紹介しております。
無料で受けられる講座や可視化サービスであるアセスメントの無料デモ等もご用意しておりますので、研修をご検討されている方のご参考になれば幸いです。
最後までご一読いただき誠にありがとうございました。
目次
- DX 人材とは
- DX プロジェクトにおけるボトルネック
- DX 人材の育成における課題は?
- 1. どういった人材を育成すればよいかわからない
- 2. 技術レベルの高さや広さから自社内での育成ができない
- 3. 高い技術を学んでも、実務と直結しない
- DX 人材の育成における課題の解決策は?
- 1. どういった人材を育成すればよいかわからない
- 2. 技術レベルの高さや広さから自社内での育成ができない
- 3. 高い技術を学んでも、実務と直結しない
- DX リテラシー人材の育成における課題は?
- 1. 関係人数が多くなり、コストが高い
- 2. 関係人数が多くなり、管理が難しい
- 3. 受講者のモチベーションの低下
- DX リテラシー人材の育成における課題の解決策は?
- 1. 関係人数が多くなり、コストが高い
- 2. 関係人数が多くなり、管理が難しい
- 3. 受講者のモチベーションが低い
- まとめ
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