こんにちは。キカガクの長期コース(2021年9月期)を受講した川合です!
この度、ご縁あってデザインの知見を共有させていただくことになりました。
「自作したアプリをより魅力的なものにしたい」「デザインってそもそも何?」という方に、少しでも実りのある内容になれば嬉しいです!
- デザインとは何なのかイマイチ分からない
- ビジネスやアプリにデザインを取り入れたいけど、何から手をつけて良いか分からない
この記事について
数回に分けて、デザインのことを書いていく予定です。
順番に読んでも、ご自身が興味があるものから読んでもOKな連載を考えています!
本記事では「そもそもデザインとは何か」「デザインが良いと何が良いのか」をお伝えします。
- デザインのことを考えるきっかけになる
- デザインをどう活用できるかが分かる
自己紹介
デザインの話に入る前に、簡単に私の自己紹介をさせてください!
私は4歳の頃から絵を描くのが好きで、芸術学部がある大学へ進みました(望む進路に進ませてくれた両親に感謝です!)。
大学の研究室では「東京オリンピック2020」のピクトグラムを担当した廣村 正彰氏に教わり、主にグラフィックデザインやブランディングデザインについて学びました。
卒業後は都内のデザイン事務所に入社し、デザイナーとしての実務経験がスタート。2012年〜2020年は主に紙媒体のデザインを制作し、ロゴマーク、チラシ、カタログ、パッケージ、店頭什器など、様々な媒体を担当しました。
しかし、2020年の「新型コロナウイルス流行」をきっかけに、「今後はオンラインのコミュニケーションが増えていくのでは」と感じ、Webデザインやプログラミングの勉強を開始しました。
独学による習得スピードに限界を感じ、スクールを探していたときに出会ったのがキカガクでした。AIというものが何かを初めて知り「どうせ今から始めるならAIも学べるスクールにしよう!」ということで受講を決意しました。
その後、プログラマーやUIデザイナーとしての実務を積み、今に至ります。
デザイナーとしての実務経験は11年以上になりますので、その中で得た知見を共有したいと思います!
デザインとは
皆さんはデザインに対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
「見た目を良くすること?」「奇抜なビジュアルを作ること?」など、視覚的な印象をあげられる方が多い印象を受けます。
それも間違いではないのですが、視覚を操作することはあくまでデザインの一部に過ぎません。
designの語源であるラテン語のdesignareは、「計画を記号に表す」という意味です。デザインを「目的達成のために、プロセスを構築する行為」とすると、デザイナーではない人々も日々行なっていることだと考えられます。
デザイン性に優れた製品を生み出し続けているAppleの創業者スティーブ・ジョブズ氏はデザインについて下記にように述べています。
多くの人はデザインを製品の見た目のことだと考えていますが、本当は見た目ではなくて、それがどう機能するかということなのです。
https://project2.tokyo/steve-jobs-interview-in-2002/
デザインとは問題解決の手法であり、「現状」と「理想」の橋渡しのようなものだと考えています。「間」を作っていると言い換えても良いかもしれません。
デザインには「こうあってほしい」というゴールへ連れていってくれるパワーがあります。極論、課題を解決できれば目に見える成果物がなくても良いのです。
例えばクライアントからは「社内の意識を高めたいため、ロゴマークをリデザイン(デザインの改善)してほしい」と頼まれたとします。
この場合、ロゴマークを作ることが目標になりがちですが、本当は「社内の意識を高める」ことが目標です。そうであれば、もしかしたら「会議室を綺麗にする」「社員食堂のメニューを新しくする」などの方法でも依頼を達成できるかもしれません。
目に見える成果物であるロゴマークを作成しなくても、他により良い解決策があるのであれば、そちらも提示するべきです。
著名なデザイナーが「デザインしないこともデザイン」と述べていました。ハっ!とさせられたとともに、まさにその通りだと思いました。依頼主を理想の状況へ連れて行ってあげる道筋を考えること自体がデザインです。
デザインとアートの違い
デザインを知る上で、アートとの違いについて考えることも重要です。
デザインとアートはよく混同されます。どちらも最終的な作業が見た目の印象を操作するので同じものだと認識してしまうのですが、デザインとアートでは目的が違うケースが多いです。
デザインは世の中の課題を解決するため、アートは自己表現するために行います。
デザイン会社で初めて上場したグッドパッチも自社のブログで下記のように述べています。
アートとは簡潔に言えば表現と創造です。表現の中に制約はありません。アーティストは自分や他者の感情や体験、もしくは日常や歴史的な事柄をアートに昇華します。そこに必ずしもオーディエンスがいる必要はありませんし、最終的なアート作品に作り上げるのに決まった工程も無ければルールもありません。
一方で、問題を解決する為に使われるのがデザインです。
https://goodpatch.com/blog/design-art-difference
また、制約にも違いがあります。
アートはどのようなツールを使うか、どれくらいの時間やお金を使うかは作り手が決めますが、デザイナーは依頼主が決めることが多いです。
デザイナーは、まるで「お母さんが冷蔵庫にある食材で料理を考える」ように、限られた予算と時間で最適なものを提供しようと努めます。
「ロッテ キシリトールガム」、「明治おいしい牛乳」、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」「デザインあ」など、多数のデザインを手掛けている佐藤 卓氏も、デザインとアートについて下記のように述べています。
デザインは自己表現が目的ではないということを、今ここではっきりとさせておかなくてはと思う
https://insights.amana.jp/article/24543/
課題を解決するためにアート作品が使われたり、かっこ良いという売りをアピールするために「デザイン〇〇」という言葉が使われたりするため、混同してしまうのだと思います。
「デザイン家電」や「デザイナーズマンション」という言葉が広告に使われているのをたびたび目にしますが、「デザイン」という言葉が付いていないとデザインされていないと捉えられてしまうので好ましくありません。
全ての物は設計や機能に工夫が施されており、デザインされていない物は存在しないです。
人々は、常にデザインしている
「私、センスないからデザインできないです」とたびたび耳にすることがあります。
デザインを特別なことだと思う人が多いからだと思うのですが、実はデザインは日常生活で頻繁に出てきます。
朝、人に会った時に挨拶すると思いますが、「おはよう」という言葉を使い分けていないでしょうか。
家族に言うときは「おはよう」。会社の人に言うときは「おはようございます」。友人や同僚に言うときは「よ!」だけかもしれません。
挨拶は会った人と良好な関係を保つためや、自然なふるまいをするためことが目的である点でデザインしていると言えます。相手に対して思いやるとき、そこには必ずデザインが存在します。
人々は「どの服を着れば場の雰囲気に合うか」「電車はどれに乗ったら目的地まで早く着けるか」「どういう順序で話せば伝わるか」など、たくさんのことをデザインしながら生活しています。
極論を言うと、動物や植物もどのような形になれば生き延びることができるかを必死にデザインしていると考えると、もはやこの世にデザインされていないものはないと言えるでしょう。
デザインの効能
デザインが良いと何が良いのか。「心地よい」「差別化できて目立つ」「好印象を持たれる」など、たくさんのメリットがあるのですが、今回は「情報が伝わるのが早い」というメリットを取り上げます。
普段よくニュースで見る天気を例にします。デザインされていない(=思いやりがない)情報とデザインされている(=思いやりがある)情報を下図で並べました。
どちらが分かりやすいか一目瞭然です。文字は具体的な情報を渡すのに適していますが、天気のように瞬時にシンプルな情報を伝えたいときは絵の方が適しています。
また、言語の壁を超えたコミュニケーションする際も「絵」や「アイコン」、「ピクトグラム」が活用されます。
実はピクトグラムの発祥は日本だといわれています!「東京オリンピック1964」で初めてピクトグラムが採用され、日本人が外国語をあまり話せなくてもコミュニケーションできるように活用されました。
文字で詳しく伝えるのが良いか、絵で瞬時に雰囲気から伝えるのが良いのか、または絵と文字を組み合わせた方が良いのか、伝えたい情報や状況によって使い分けてみてください。
デザインは、「何を伝えるか」「どのような順番で伝えるか」「どんな速さで伝えるか」「どのような印象を与えるか」などをコントロールできます。
この力を身につけるために、普段から「何故それを買おうと思ったのか」「何故そこに行きたくなったのか」「何故好きなのか、嫌いなのか」を深く考えることが重要です。
「何故」を数回繰り返していくと、そこにデザインの本質を見つけることができ、自身もその力を使えるようになっていきます。
まとめ
今回は「そもそもデザインとは何か」「デザインが良いと何が良いのか」を紹介しました。
プレゼン資料やアプリケーションのデザインを考える際、相手への思いやりを持って作成してみてください。自然に良いデザインになっていくと思います。
「この文字はもう少し大きい方が見やすいかな?」「この色だと見えにくいから他の色も検討しよう」「この単語の意味ってそもそも理解されているのかな?」など、気遣いができる部分は無数にあります。
また、情報を届ける相手をできるだけ具体的にイメージしましょう。「同世代の友人」「実家にいるお母さん」「会社の上司」など、身近な人を想像すると、どんなデザインだったら喜ばれるか答えが出やすいかと思います。
具体的な手法を身につけなくても、良いデザインは実現できるので、ぜひ日々の生活でデザインを意識して過ごしてみてください。
次回はUIデザインについて紹介します!
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